パッケージで成果を上げた事例

すずキッチン様

伝統和菓子を守った木製わっぱの力 - 珠洲市から大阪万博、そして全国へ広がった能登復興ストーリー

2025.09.17

珠洲市復興支援から生まれた特別な想い

2024年元旦に発生した能登半島地震。多くの店舗が被害を受け、営業再開が困難な状況が続く中、珠洲市では復興への新たな取り組みが始まっていました。

合同会社すずキッチンの代表である坂本信子様は、震災で店舗が被害を受け営業再開ができないメンバー3人と共に、道の駅すずに隣接する仮設店舗で「すずキッチン」を運営されています。

そんな坂本様が新たに企画されたのが、珠洲市を代表するお菓子の詰め合わせ商品でした。「この地の風習をひとつでも残していきたい…」という想いから、昔から愛されてきたお菓子3種類を詰め合わせて販売する計画が動き出したのです。

【すずキッチン様(石川県珠洲市)】

しかし、この特別な商品には「単なる容器」ではなく、珠洲市の復興への想いを込めたパッケージが必要でした。そこで私たち東興包装材料にお声がけいただいたのが、この事例の始まりです。

中小企業が直面する包材調達の課題

今回のご依頼は、㈱横浜マネジメントコンサルティングJPSの木村様を通じていただきました。木村様は食品メーカーで長年商品開発に携わってこられた経験を活かし、同社にて中小企業様の商品開発伴走支援サービスを担当されています。

木村様によると、中小企業には中小企業特有のニーズがあり、包材調達もその一つだといいます。小ロット対応やスピード感、きめ細やかなサービスなど、大手企業とは異なる要望があり、それに応えてくれるパートナーを探されていたそうです。特に今回のような復興支援という特別な背景を持つ案件では、単なる「容器」以上の価値が求められていました。

「直感で『ここだ!』」- 即決につながった信頼感

当社のホームページをご覧になった木村様は、直感で「ここだ!」と感じ、即座にお電話をくださったのです。

なぜ即決していただけたのか?

その理由について木村様は、当社の制作実例をご覧になり、包材で付加価値やお客様の共感価値を一緒に作れると感じられたからだと話してくださいました。また、中小零細企業への支援経験や、細やかでスピード感のあるサービスにも魅力を感じていただけたようです。

私たちが大切にしている「パッケージは単なる入れ物ではなく、お客様の想いを伝えるメッセージ」という考え方。そして中小企業様に寄り添う姿勢を、制作実例を通じて感じ取っていただけたのだと思います。

環境配慮と地域性を両立させた「木製わっぱ容器」の提案

初回のご相談で詳しくお話を伺うと、珠洲市の地元お菓子3種類を詰め合わせて販売したいというご要望でした。私たちがご提案したのは、「木製わっぱ容器」でした。㈱横浜マネジメントコンサルティングJPSの木村様も以前から関心をお持ちいただいており、現地のスタッフの皆様にも共感いただき、方向性が一致したのです。

なぜ「木製わっぱ容器」だったのか。それには明確な理由がありました。

・環境への配慮
復興支援という意味深い商品だからこそ、使い捨ての紙箱ではなく、環境に優しい天然木材を使用した容器を選択しました。

・差別化と印象度
通常のお菓子詰め合わせに使われる紙箱とは全く異なる「木製わっぱ」の存在感により、お土産品として強い印象を残し、珠洲市のお菓子として記憶に残る商品にできると考えました。

【木製わっぱ容器例】

現地の想いを形にしたデザイン開発

容器が決まった後は、蓋のデザインです。当初、私たちは縁起物として「だるま」のデザインをご提案しました。しかし、現地の皆様から「珠洲市とだるまがうまく繋がらない」というご意見をいただきました。

そんな中、「すずキッチン」で働いているデザイナーの方から「招き猫」のデザインが送られてきたのです。縁起の良い招き猫をモチーフにしたそのイラストには愛らしさがあり、現地の皆様の想いが込められていました。

私たちはその想いを大切にしながら、プロの技術で「わっぱ容器」に合うようアレンジを加えました。地域の文化や風習を尊重し、現地の皆様が「これで行こう」と決めたデザインを最大限活かすことを心がけました。

完成したデザインは、招き猫の首輪に「すずキッチン」の文字を入れ、珠洲市らしい花(椿のような花)をあしらった、親しみやすく印象に残るものになりました。

【オリジナル 招き猫デザインを施した 木製わっぱ容器】

スピード対応で実現した連休前納品

制作期間は非常にタイトでした。3月後半にご相談をいただき、5月の連休前には納品完了という、約1ヶ月という短期間での対応が求められました。

しかし、復興支援という背景と、現地の皆様の想いを考えれば、スピード感のある対応は必須でした。デザイン調整、試作、本生産まで、㈱横浜マネジメントコンサルティングJPSの木村様と密に連携を取りながら進めてまいりました。

【珠洲市で昔から愛されてきた菓子3種 詰め合わせセット】

期待を超える成果と新たな展開

最終的に1,200個(600個×2回のリピート発注)を納品させていただきました。完成したパッケージは想像以上の評価をいただいただけでなく、その後、以下のような成果にもつながりました。

大阪万博での販売
珠洲市のお菓子詰め合わせは、大阪万博の会場内でも販売されました。全国から訪れる来場者に珠洲市の魅力を伝える貴重な機会となったのです。

【大阪万博会場の売り場の様子】

ユニフォームへの活用
現地の皆様から「招き猫のデザインを作業服にも使いたい」というお話をいただきました。パッケージのデザインが、ユニフォームにまで活用されるというのは、私たちにとって最も嬉しい瞬間でした。パッケージを超えた価値を提供できたと実感しています。

㈱横浜マネジメントコンサルティングJPSの木村様からも、珠洲市復興支援において東日本大震災での私たちの経験から様々なアドバイスや、「木製わっぱ容器」のご提案ができたことを評価していただき、今後も継続的にご支援いただけることになりました。

今回の「すずキッチン」様の事例を通じて改めて実感したのは、パッケージには商品を包む以上の役割があるということです。珠洲市の復興への想い、地域の伝統を絶やしたくないという気持ち、そして未来への希望。これらすべてがわっぱ容器に込められ、全国の人々に届けられました。

パッケージは単なる「入れ物」ではありません。お客様の想いを伝える「メッセージ」であり、時には復興の「希望」を運ぶ大切な役割を担っているのです。

新たなサービスの展開 – 一時預かり対応

今回の案件を通じて、私たちは新たなサービスの必要性に気づきました。中小企業様の中には、在庫を保管する場所が限られているケースが多くあります。

そこで、必要な時に必要な分だけお送りする「一時預かりサービス」を開始しました。お客様の負担を軽減しながら、安心・安全な納品体制を整えることで、より多くの中小企業様のお役に立てると考えています。

【発注いただいた包材の一時預かりが可能な東興包材の倉庫】

地域に寄り添うパッケージ作りを、一緒に考えませんか?

「地域の特色を活かした商品を作りたいが、どんなパッケージがいいか分からない」 「復興支援や地域活性化に取り組みたいが、効果的な見せ方が分からない」 「環境に配慮したパッケージで差別化を図りたい」 「小ロットでもオリジナリティのあるパッケージを作りたい」

そんなお悩みがありましたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。私たちは、お客様の想いを形にし、商品価値を最大化するパッケージを、企画の段階からトータルでサポートいたします。

地域に根ざした商品づくり、復興支援、環境配慮。様々な想いを「包む」パートナーとして、皆様と共に歩んでまいります。


お客様アンケート原文

㈱横浜マネジメントコンサルティングJPS 木村様

Q1. 当社へご依頼いただく前に、どのようなことでお悩みでしたか?
食品メーカーで長年商品開発に携わったきた経験を生かして、中小企業様の商品開発伴走支援サービスを開始したものの、今までお付き合いのあった印刷会社では、生産ロット、スピード感、価格で柔軟性がなく、新しい包材会社様を探していました。
Q2. 何がきっかけで、当社を知りましたか?
御社のホームページです。申し訳ありませんが、検索キーワードを忘れてしまいました。東北六県汁の記事に辿り着いたのが先かもしれません。
Q3. 当社を知ってすぐにご相談されましたか?
ホームページを拝見し、直感で「ここだ!」と即決し、直ぐにお電話をしました。
Q4. 他にも多くのパッケージ・包装資材の会社がある中で、当社を選んでくださった決め手は何でしたか?
制作実例を拝見し、包材で付加価値、お客様の共感価値を一緒に作れると思った点と、中小零細企業のご支援の経験や細やかでスピード感のあるサービスに魅かれました。
Q5. 実際にご依頼いただいて、いかがでしたか?
●●●●の企画改善提案、スピード感のある対応に感謝しています。珠洲市復興支援においても、東日本大震災のご経験から、様々なアドバイス、わっぱのご提案ありがとうございました。そして何より、後藤社長の向上心、情熱に敬服しており、学ぶことが多いです。今後もご支援とご協力を賜りますようお願いいたします。

合同会社すずキッチン 坂本信子様

Q1.今回のパッケージを導入された背景や、商品に込めた想いを教えてください。
今回、この“わっぱ型”を選びました理由には、まず私たち能登地震で沢山の方々からの励ましのお言葉やメッセージをいただき、どの様に返すことが出来るのか?を社員全体で話し合い、まだ頑張って珠洲市に残り、この地の風習をひとつでも残していきたい…だからお土産に使う包材も使い捨てではなく、珠洲という地名を少しでも記憶に残したい…との思いで。
Q2.実際にパッケージをご活用いただいていかがでしたか?率直なご感想をお聞かせください。
仕上がりはサンプルもいただいた後ですので問題なく希望通りでした。
当社の若い社員がデザインして、東興包材様のプロデザイナーさまに手を入れてもらえたので“まねき猫”の他に“Suzu City”という一文字を。
それにより公共性も出て、県外に行っても相対でお話ができ、販売のチャンスにもなりました。
今現在は、“珠洲市の伝統的なまんじゅう”を入れての販売ですが、このあとは季節感のある地域の菓子を入れたりして広げてきたいと思っています。

合同会社すずキッチン 秋房 大介様

合同会社すずキッチン 角野 倖多様

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